fbpx
農地売却のポイント!「農地転用」とは?

2018.03.15

農地売却のポイント!「農地転用」とは?

#お金 #不動産 #土地活用

使い道を失った農地、これからどうすれば?
「親から田畑を相続したものの農業をやっていくつもりはなく放置してしまっている。」
「長年農家を営んできたけれど高齢などの理由から作業が負担で続けられなくなった後継者もいないのでこの土地ももうなんとか始末したい。」
…近年はそうしたケースが増加しています。

こうした使われなくなった農地は、そのままにすると荒れ果てるだけでなく、土地に対する税金だけがかかり、負担の増大につながってしまうでしょう。
そして農地取引は「農地法」で細かく制限されており、一定条件を満たさなければ行えない仕組みとなっているなど、非常に複雑で困難という特殊な事情があるのです。

農地のまま農家に売るなら、取引は比較的シンプルですが、就農者が減少・高齢化する中にあって、理想の取引を実現させることは難しく、売却益もあまり見込めません。そこで農地の用途を変更する「農地転用」について、今回は考えてみましょう。

農地転用とは?費用や手続きについて
「農地転用」とは「農地を農地以外にすること」で手続きを経て許可が降りれば、宅地や駐車場に用いる土地としての売却が可能になります。売却対象も広がり、資産として活かしやすくなるでしょう。

ただし先述のように、農地転用は思うほど簡単ではなく、クリアすべき条件や手続きが多くあります。どうすれば可能になるのか、概要を具体的にみていきます。

 

申請の違い
●農地が4ヘクタールまでの場合
→都道府県知事及び指定市町村の首長による許可が必要。

●4ヘクタールを超えるものの場合
→農林水産大臣の許可が必要。
農林水産省令に従って作成した転用許可申請書をはじめ、各種関係書類を揃える必要あり。それらを農業委員会を経由して提出。
→必要書類詳細。
登記簿謄本、公図、都市計画図や農業振興地域区域図で示した土地の位置図、十分な転用資金があることを証明できる銀行預金の残高証明書や融資証明書、土地改良区意見書、住民票など。

●宅地として上に建物を建てる場合
→必要書類
その建物の設計図、取水・排水に関する同意書、駐車場とする予定ならば予定借主の署名や完成配置図なども必要。

手続き完了期間
1カ月半~2カ月半、長い場合には1年以上を要するケースもみられるます。案件の複雑さによって異なり、実施する場合は十分余裕をもったスケジュールで進めるようにすることが大切です。また、手続きの受付に決められた日程があり、そのタイミングを逃すと2カ月後の次を待たなければならないといったこともあるため、事前に流れを確認し、計画的に進めましょう。

費用
農地としての用途変更と、売買に伴う所有権の移転変更を行った場合ででは、届出に3~5万円程度、許可を得るのに6~15万円程度が必要になってきます。あくまで目安ですが、合計で10~20万円程度はみておいてください。


農地タイプで許可の難易度が違う?

農地転用の許可がおりるか否かの基準は、農地のタイプで異なります。原則として認められない土地がある一方、市街地に近いタイプほど認められやすいといった具合です。以下、少し詳しくみてみます。

基準には立地基準と一般基準の2つがあります。まず立地基準ですが、これはその土地における農業上の重要性がどれほどかを示すもので、重要性が高いほど転用を厳しく制限する仕組みになっています。区分は次の5つです。

1つ目が「農用地区域内農地」で、市町村が定める農業振興地域整備計画により規定されたもので、これにあたる場合は原則、転用は許可されません。

2つ目は「甲種農地」です。8年以内に市街地調整区域内の土地改良事業等における対象となった農地で、とくに良い営農条件を備えていると判断される土地です。こちらも原則、転用が許可されない決まりになっています。

3つ目が「第1種農地」で、これは10ヘクタール以上の規模をもつまとまった農地、土地改良事業等の対象となった農地等、良好な営農条件が満たされている土地であり、やはり原則として転用が許可されませんが、土地収用法対象事業等の理由で転用する場合には認められることがあります。

4つ目は「第2種農地」です。鉄道の駅が500メートル以内にあるなど、市街地化が見込まれる立地の農地、もしくは生産性がある程度低い小規模な集団の農地が該当します。これに区分されれば、農地以外の土地や次の第3種農地で建築物が立地困難と判断される場合、転用が許可されます。

最後が「第3種農地」で、これは鉄道の駅が300メートル以内にあるなど、市街地区域または市街地化傾向がかなり進んでいる区域にある農地です。この第3種農地ならば、原則転用が許可されることとなっています。

次に、もう1つの基準である一般基準をみてみましょう。こちらは立地に関係なく設けられたもので、主に3本の内容からなります。1つ目が該当する農地を申請用途で使っていくことが確実であること、2つ目は周辺の農地における営農条件に支障を生じさせないこと、3つ目は一時的な利用のための転用のケースで、その利用後にはまた耕作の目的で用いられることが確実であることです。

こうした申請内容の実施における確実性などを精査し、許可することが適当かを判断するのが一般基準になります。なお土地の造成だけを行う転用は、市町村が実施する場合を除き許可されません。都道府県などでさらに特別の要件基準を設けていることもありますから、その点も留意しておきましょう。

一般の農地はこうした基準が適用されますが、例外として市街化区域内にある農地は、生産緑地を除き、農業委員会への届出さえ行えば転用することができます。この場合は非常に簡単で、公図と登記簿謄本、住民票といった必要書類を揃えて申請すると、すぐに受理通知が得られます。

転用許可で完了?
最後に注意点ですが、申請手続きと審査を経て、農地転用の許可が得られたとしても、この段階で農地という地目を変更できたと思うのは誤りです。あくまでこれは農地を別の用途で使用する許可が得られたというものですから、地目変更は法務局で変更登記を行わなければ完了しません。間違いがないように、気をつけておきましょう。

このように農地転用は複雑で、転用許可が原則としておりないケースもあります。必要に応じて行政書士や不動産業者など、専門家に相談しながら検討してください。必要書類の確認や相談は農業委員会に行うとスムーズです。農林水産省のホームページも参考になりますから、ぜひ確認してみてくださいね。

(画像は写真素材 足成より)