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マンション管理、スタッフの高齢化と不足が深刻

2018.03.22

マンション管理、スタッフの高齢化と不足が深刻

#ビジネス #不動産 #業務効率 #経営

近年の分譲マンションでは、その多くで居住者の高齢化と建物の老朽化が課題となっていますが、加えてマンション管理員や清掃員など、現場スタッフの高齢化や人材不足も問題として注目されるようになってきています。
今回はその実態を探るためのアンケート調査を一緒に見ていきましょう。

スタッフの人材不足状況
現場従業員の直近1年における過不足状況を各社に尋ねたところ、週30時間未満で働く通勤管理員や清掃員の不足がとくに顕著で、これらは「大いに不足」の回答が2割を超えたほか、「やや不足」を加えると半数を上回り、採用難が強く感じられていることが明らかとなりました。

住込管理員やコンシェルジュ、警備員・防災センター要員は、そもそも該当者を置いていないケースが半数程度と多かったものの、それを除くとやはり一定の人材不足が発生していることがうかがわれます。なお、常駐フロントと常駐設備員は「適当」との回答が100%になりました。
【住込管理員】
大いに不足:9.2%
やや不足:14.3%
適当:27.6%
該当者なし:49.0%

【通勤管理員(週30時間以上)】
大いに不足:12.6%
やや不足:42.9%
適当:37.0%
該当者なし:7.6%

【通勤管理員(週30時間未満)】
大いに不足:20.7%
やや不足:39.7%
適当:30.6%
該当者なし:9.1%

【清掃員(週30時間以上)】
大いに不足:8.6%
やや不足:23.7%
適当:43.0%
該当者なし:24.7%

【清掃員(週30時間未満)】
大いに不足:20.0%
やや不足:32.4%
適当:32.4%
該当者なし:15.2%

【コンシェルジュ】
大いに不足:1.4%
やや不足:11.1%
適当:34.7%
該当者なし:52.8%

【警備員・防災センター要員】
大いに不足:1.5%
やや不足:11.8%
適当:29.4%
該当者なし:57.4%

厳しい採用状況
業務そのものへの抵抗感や勤務形態、適任か否かといった点はいずれも3割程度と低めにとどまり、「定年引き上げの影響」や社会全体での「就職売り手市場」といった回答が6割を超える多数になりました。「給与や時給単価が低い」ことも7割弱の理由になっています。

・採用難を感じた時期
1年以内:9.7%
1年超2年:40.8%
2年超3年:29.1%
3年超5年:8.7%
5年を超えて継続:11.7%

 

・採用難の理由
定年引き上げの影響:62.5%
就職売り手市場だから:66.1%
給与や時給単価が低いから:67.9%
管理員・清掃員という業務への抵抗感:30.4%
業務に適した人材確保が困難:33.0%
勤務時間が短いから:56.3%
土日・祝日の勤務があるから:35.7%

 

スタッフ年齢は65~70歳が最多で高齢化が顕著

・管理戸数別現場従業員の年齢構成比
【1万戸未満】
54歳未満:12.6%
55~60歳:10.9%
61~64歳:23.8%
65~70歳:39.4%
70歳超:13.3%

【1万~10万戸未満】
54歳未満:7.1%
55~60歳:10.1%
61~64歳:22.0%
65~70歳:46.8%
70歳超:14.1%

【10万戸以上】
54歳未満:6.7%
55~60歳:10.1%
61~64歳:23.9%
65~70歳:49.9%
70歳超:9.4%

【全体】
54歳未満:7.3%
55~60歳:10.2%
61~64歳:23.3%
65~70歳:48.1%
70歳超:11.2%

今回の調査回答社における現場スタッフ雇用総数は67,635人、協会会員社総現場スタッフ数は推計87,000人です。
スタッフの年齢構成比では、65~70歳が最多で全体の48.1%を占めるなど、まさに高齢者によって支えられていることが明らかとなりました。

管理戸数別では、1万戸未満が最も年齢層が低めで、54歳未満も12.6%でしたが、70歳超も13.3%あり、二極化の傾向もうかがわれます。また、男女別も加味した分析の結果では、全体で男性の現場スタッフの60歳以上が9割を超えていました。

(画像はプレスリリースより)

マンション管理、スタッフの高齢化と不足が深刻

<調査>
実施:マンション管理業協会
内容:現場従業員の雇用の実態に関する調査」
調査期間:2017年8月31日~2017年10月13日
対象:同社会員
調査方法:協会に加盟する会員363社へ回答を依頼し、161社の有効回答取得。回答社の受託数は73,632組合で、総受託組合数の77.4%相当。