2017.05.17
「宅建業法改正」で中古住宅市場に訪れる変化
インスペクション(建物状況調査)とは、不動産のプロが住宅の劣化状態や欠陥、何年後にどんな改修が必要になるか、などを見極める専門業務です。売主と買主だけの取り引きではなく、第三者の意見となるインスペクションを取り入れることで、安心して取り引きすることができるようになります。インスペクションを行うのは、住宅瑕疵担保責任保険協会による講習を修了した建築士である「既存住宅状況調査技術者」や、民間資格を保有している「ホームインスペクター」「公認ホームインスペクター(住宅診断士)」です。
今回の法改正はどのような影響を及ぼすのでしょうか。今回の法改正の狙いは、インスペクションの認知促進です。不動産取引のプロである宅地建物取引業者(以下、宅建業者)が、インスペクションの実施によって売主・買主の双方が安心して既存住宅の取り引きが行えるような環境を整備することが目的になっています。
という3点が決まりました。
また、購入した住宅に万が一欠陥が見つかった場合、「瑕疵(かし)保険」に加入していれば補修するための費用が保証されます。インスペクションを行うことで、瑕疵保険の加入が促進されると期待されています。
ポイントは、インスペクションを義務づけるのではなく、適正なインスペクションを実施し、実施された場合にその結果の説明を義務づけることです。インスペクションにより、売主と買主以外の第三者の観点で情報を得ることができるようになります(=第三者性)。
ホームインスペクションで重要になるのは、この「第三者性」です。しかし、インスペクションを行う業者の中には、虚偽の「第三者性」を謳うケースも見受けられます。
たとえば、インスペクションを引き受ける会社が売主に寄っていれば売主に有利な結果になることが考えられます。また、この会社が不動産やリフォームといった事業も行っていた場合、自社に有利な結果を出して自社のサービスを利用するように誘導される(例えば、わざと診断結果を悪く提示して購入を諦めさせ、後日買主に自社の持つ別の物件を提示させるなど)という悪質なケースもあります。
このように法改正後も、インスペクションに関してはまだ解決すべき課題が多いように思えますが、安心して既存住宅の取り引きが行うことができ、また既存住宅の流通が活発化する兆しは見えてきました。