まるわかり!遺産相続の「寄与分(きよぶん)」知識

2018.04.11

まるわかり!遺産相続の「寄与分(きよぶん)」知識

#不動産 #相続

寄与分(きよぶん)って何?なぜ設けられているの?
少子高齢化社会の日本では、相続は多くの方にとって他人事ではない問題です。近年は相続が複雑化するケースも増えいます。今回は、遺産分割協議を進めるにあたり、難しいポイントとなる「寄与分(きよぶん)」という概念について詳しくみていきます。

・そもそも相続とは?
亡くなった人の財産を、権利のある人が公平に分けて受け継ぐことを意味します。さまざまな状況を鑑みて、単純な法定相続分に基づく分割では不公平となるケースがあります。寄与分の制度は、そうしたケースにおける調整の仕組みとして設けられているものです。

・寄与分の基礎知識
寄与分とは、相続人の中でも特別な貢献(財産維持や増加にかかる事業協力や生活支援、療養看護など)をしたと認められる相続人がいる場合、その貢献度に応じて他の相続人よりも相続分を増やす制度です。
具体的なその割振りのプロセスですが、まず相続財産全体から寄与分を控除し、残りを各相続人で分けてから、寄与者にその控除分も取得させます。この控除して加算する分を、「寄与分」と呼ぶのです。

寄与分が認められる人とは?
寄与分は民法904条で具体的に要件が定められています。

第1条件は、共同相続人であることです。相続人でない第三者はその時点で除外されます。よってたとえ被相続人(遺産相続をする亡くなった人)を、相続人でない友人や知人が献身的に介護して支えていたり、事業を支えて財産形成に無償協力していたりしても、寄与分が認められることはありません。

しばしば問題となるケースは、相続人の配偶者です。長男の妻が長年、相続人の介護をしたり、農作業を手伝ったりしてきたといった事例は多くあります。原則からすれば、相続人の配偶者は相続人でないため、寄与分は認められません。しかし現実的には、相続人間での話し合いにより、妻の働きを長男自身の寄与とみなして、相続人である長男に一定の寄与分を認め、長男の相続取得分を増やすことでバランスのとれた円満解決を図るケースが一般的となっています。

第2条件は、寄与行為は“特別の寄与”であることが求められるため、報酬が発生していない無償のものであること、1年以上、目安として3~4年以上の長期間にわたる継続性があること、片手間に行ったのではない専従性があることがポイントになります。
そしてこうした寄与行為が、被相続人の財産における維持または増加と関連している、合理的な因果関係が認められるということが重要で、これらを満たす行為のある相続人が「寄与分あり」と認められる人になるのです。

「寄与分の行為」とみなされた事例
事例は大きく5タイプに分かれます。
1つ目は「家事従事型」で、被相続人の行う農業や商工業といった事業へほぼ無償で協力・従事し、財産形成に貢献したケースです。被相続人である父親の家業を子どもが手伝ってきたといった事例がこれにあたり、医師や弁護士、司法書士など各種士業を営んでいるケースなども含まれます。

2つ目は「金銭等出資型」で、相続人である配偶者が結婚後も共働きで収入を得、被相続人である夫が生前に本人名義で不動産を取得する際に、その配偶者の収入も充てて購入したといった場合です。起業資金に充てたり、借金返済のためにお金を出したりしたケースも含まれますが、事業会社に対してなされた金銭出資は基本的に寄与とは認められません。

3つ目は「療養看護型」で、相続人が被相続人に対し、高齢や病気に起因して必要となった日々の看護や介護を行った場合がこれで、付き添い看護のサービスを用いれば費用支出が生じたと考えられるため、それによって相続財産の維持に寄与したとされます。

通常見込まれる以上の行為がなされたかどうかがポイントで、独立した生活を送りながらたまに介護として不便さを手伝った程度、ほとんどは施設サービス・デイサービスを利用していたといった場合は、寄与分を認めません。

4つ目は「扶養型」で、相続人が被相続人の日常生活における面倒をみていたケースです。継続的に生活費を渡していたり、実際に生活全般を支える行動をとっていたりする場合で、療養看護型と同じく、被相続人との関係性から見込まれる以上の寄与があること、専従性や継続性がなければなりません。

5つ目は「財産管理型」で、被相続人の財産管理を助け、その増加や維持に直接貢献した場合がこれです。例としては、被相続人が保有する不動産の管理を行っていて管理会社への支払い費用が浮いていたり、不動産を売却する際に賃貸人の立ち退き交渉や書類手続きを行った、買主を探して売却交渉を行ったなど、業者に依頼する費用が浮き売却益の増加につながったりしたものが挙げられます。

この財産管理型については、専従性や継続性は求められず、金銭等出資型のように、結果として財産を維持・増加させた特別の寄与があったと判断できれば認めらます。

【練習問題】ケーススタディで計算方法を習得しよう!
寄与分が認められる場合、どのように遺産相続がなされるか、具体的な例で考えてみます。

==ケーススタディ==
被相続人:夫Aさんが亡くなった
財産:4,000万円
相続人:妻Bさん、長男Cさん、次男Dさん、長女Eさん(計4人)

寄与分に認められる内容:
妻Bさん→自宅不動産購入時費用に自分の収入を出して、300万円の寄与分。
長男Cさん→Aさんの家業である工場の後継者として働いてきたことから800万円の寄与分。
長女Eさん→実家に残ってAさんの介護をほぼ1人で担い400万円の寄与分。

==計算方法==
寄与分:300+800+400=1,500万円
みなし相続財産:4,000万円-1,500万円=2,500万円

各相続人のみなし相続分割:
妻Bさん→2,500×2分の1=1,250万円
C・D・Eさん→2,500×2分の1×3分の1=約416万円

最終的な具体的相続分:
妻Bさん→1,250+300=1,550万円
長男のCさん→416+800=1,216万円
次男Dさん→0+約416万円=416万円
長女Eさん→416+400=816万円
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まとめ

寄与分が認められるか、認める場合いくらと算定するかは、まず相続人間の話し合いで決め、遺産分割協議書の作成を目指します。もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所へ申し立てを行って、調停や裁判による審判で決めていくこととなります。

一般的にみて寄与分があると判断される場合でも、本人が主張しないとその評価を無視した遺産相続が進んでしまいます。ですので、公平な相続となるよう、遺産分割協議できちんと主張して、必要な手続きの開始を求める必要があります。

仕組みを知らなかったために、認められるべき寄与分が与えられないといったことにならないよう、ぜひ基本的な知識を身につけておきたいですね。

(画像は写真素材 足成より)